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HISガイドライン

Hospital Infection Society (HIS) は英国の病院感染に関する学会で、 Journal of Hospital Infection はその学会誌です。2年に一度国際学会が開催され、また学会誌への投稿も全世界から行われていますので、英国に限らず広く世界における病院感染に関する新しい知見が集中する学会のひとつであると言えます。

1)MRSA病院感染管理のための改訂ガイドライン(1998年8月)

Ayliffe et al: Revised guideline or the control o methicillin-resistant Staphylococcus aureus inection in hospitals, J Hosp Infect 39:253-290, 1998 http://www.his.org.uk

  本ガイドラインは、1998年8月、英国化学療法学会、病院感染学会、感染制御看護婦協会の合同作業部会が報告したガイドラインです。英国においては1986年と1990年に発行されたMRSAに関するふたつのガイドラインが 存在していましたが、今回のガイドラインはこれらを統合し改訂したものです。

MRSAに関する特別な対策は必要ないという議論があることも考察し、従来のガイドラインよりも柔軟に場合に応じた対策をとることが現在では望ましいとした上で、MRSAの制御は今も重大な課題であることを強調しています。

本ガイドラインはMRSA対策について多面的に詳細に述べていますが、大きくその対策を分類すると、病院感染対策全般において行われる基本的制御手法( Basic Control Measure) 、および、MRSAなど特定の病原体に対して「場合により」行う標準的感染源隔離 (Standard source isolation) によって行う伝播遮断策、「場合により」行うスクリーニングによる保菌患者・保菌医療従事者の発見とその積極的除菌による感染源減少策から構成されています。

大雑把に対比すると、基本的制御手法は CDC の標準予防策、MRSAに対する標準的感染源隔離は CDC の接触予防策に当たるものと思われます。例えば基本的制御手法では手洗いに消毒薬を用いるとは規定されていませんが、MRSAの標準的感染源隔離においては手洗いに消毒薬を用いると規定しています。また、聴診器など侵襲的でない器具や患者ベッド周りの清浄化についても、後者の伝播遮断策においては消毒を行う場合を規定しています。

以上の対策を行う場合わけとして、まず、病院においてMRSAが流行している場合と流行していない場合にわけ、さらに臨床上のリスクが、最低限( Minimal) 、低度 (Low) 、中等度 (Moderate) 、高度 (High) である病棟に分類し、それぞれの場合によって必要に応じ、上記の伝播遮断策や感染源減少策を部分的に選択するという仕組みになっていると要約することができます。 Mimimal としては長期療養・精神科など、 Low としては一般内科、 Moderate としては外科、泌尿器科、新生児科など、 High としては ICU 、熱傷病棟などが例示されています。

Minimal の場合は概ね基本的制御手法のみで良く、 Low の場合には部分的スクリーニングの上保菌者をなるべく隔離、 Moderate の場合にはより広範なスクリーニングの上保菌者をなるべく隔離、 High の場合にはほぼ全面的に隔離といった場合分けがなされていますが、条件分けなどの記述が詳細に行われていますので、正確には原文をご参照下さい。