1)XP
レントゲン検査の意味は、腰椎の変形や奇形を調べると共に不安定性や生理的前わんの変化を見ることにあります。
変形:椎体の骨棘形成や圧迫骨折・側わん・すべり・分離 etc
奇形:腰仙移行椎や椎体の奇形・2分脊椎etc
不安定性:椎体が前後屈でグラグラ動いている、椎間高の狭小化・消失
生理的前わん:腰椎は立位 にて自然に前に反っています。これを生理的前わんと言います。この前わんが強くなっていたり、逆に減少したりすることも疼痛などの原因となります。
2)MRI
脊椎疾患は、レントゲン検査や診察あるいはアナムネーゼ(現病歴)で、ほぼ診断はつきますが、必要に応じてMRIによる検査を更におこないます。MRI (Magnetic Resounance Imaging)は、磁気を用いた検査で、骨ばかりでなく筋肉や神経・血管などの情報を得ることが出来ます。形態も勿論ですがMRIは、質的診断を得意としています。
ここで、大切なのはMRIでは前記のようなヘルニアのタイプ・形態を確認することです。また、自然消退する可能性の有無を確認する必要があります。したがって、私達はMRIをおこなう際に造影剤を用い判断をおこなっています。造影剤による造影効果がヘルニア塊の周囲に認められれば、それは血管新生を意味し自然消退の可能性がありますので、その場合は定期的にMRIによるフォローをおこなっていきます。
残念ながら、自然消退に要する期間はそれぞれの症例でまちまちであり、数週で消えるものから1年ほどかかるもの、あるいは一向に消失しないものまであります。 ここが、判断の非常に難しいところです。
MRI検査については、現在多くの誤解があります。
最も多いのは、MRI上異常があればそれが病気(ヘルニア)だと判断すること。
次に、MRIは機器による性能差が予想以上に大きいことです。
私たちは、年齢を重ねるごとに当然脊椎も老化・変形をしていきます。従って、MRI上異常を認めることはある程度は当たり前のことのなのです。よく、MRI で異常があるからヘルニアだと症状もないのに診断された方がおられますが、これは間違いです。多くの場合、画像上異常があっても症状がなければそれは異常とは言えないのです。また、MRIは前述のごとく機器による性能差がはっきりと画像に反映されます。あまり性能の高くないMRIでは、実は異常がなくともあたかも異常があるように見えることを知っておかなければいけません。
従って、ヘルニアと診断された場合には、他の専門医のセカンドオピニオンを聞くことが大切です。