LUMBAR DISC HERNIATION5

腰椎椎間板ヘルニアの手術

ヘルニアの手術は安全です。


手術には大きく分けると3つあります 。最近では、侵襲の少ない内視鏡を用いた方法もあり、4番目の選択肢となりつつあります。

1)PN(経皮的髄核摘出術)・PLDD /PLDA(経皮的レーザー髄核減圧術)
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最も侵襲の少ない手術法で、土方先生が始められた手術法です。基本的にヘルニア塊そのものでなく髄核を取ることにより椎間板内の圧力を減らし症状の軽減を図る手術法です。手術の性格上、症例を選びます。一般 に適応と考えられるのは前記の protruded typeで髄核の水分の多い椎間板の変性の軽いものです。これは、MRIで十分に予想可能です。 PNの手術成績が一定しないのは実はこの症例選択の難しさにあります。

レーザーを用いたPLDDは、このPNの一つの方法で、 1987年にChoyが発表した方法です。レーザーによる髄核の蒸散をおこない減圧を図るもので、PNと比較し合併症が少ないと言われています。低侵襲で短時間に効果 が得られることより、最近注目されている手術法です。しかし、PNと同様適応を選ぶのと、レーザーの至適照射量が厳密には不明なのが難点です。適応さえ選べば優れた治療法ですが、良好な結果を得るには十分な経験が必要です。 最近PLDDにトラブルが多いのは、こうした適応のミスが認められるのと、比較的手技が簡単なため脊椎外科医でない医師によってなされることもあるからだと考えます。

2)後方髄核摘出術

後方(背中)からヘルニア塊そのものを摘出する方法です。 PNでは、効果が期待できない症例に行われ、最も広く行われています。私がおこなっているのは、この中のマイクロ・ラブ法(microdiscectomy)という方法で、背中に3cmの皮膚切開を加え展開し顕微鏡を用いて行います。手術時間は1時間前後、出血は微量 で、痛みも軽度で、翌日から歩行可能です。特別な方法ではありませんので、訓練された脊椎外科医で有ればどこでも可能な手術法です。手術侵襲はPNより大きくなりますが、症例を比較的えらばず直接ヘルニア塊を摘出できるメリットがあります。

3)脊椎固定術

腰椎が不安定でヘルニアの摘出だけでは症状の再発や残存が予想される場合におこないます。これには、ALIF(前方固定術)とPLIF(後方固定術)の2つがありそれぞれに利点と欠点があります。PLIF(後方固定術)は、良い手術法ですが、従来、手術侵襲が大きく術後の疼痛が強かったり安静期間が長かったりで患者様にとっては比較的つらい手術でした。現在では手術技術の改善や後療法の工夫により疼痛もほとんどなく術後2日で歩行可能となってきました。また、骨移植についても最近では人工骨を使用する傾向にあります。

4)Metrex(内視鏡下髄核摘出術)
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後方より17mmの皮膚切開を加え、内視鏡下にヘルニアを摘出する方法です。以前のMEDと比較し随分進歩し、選択肢の一つとなってきました。マイクロ・ラブ法の30mmとあまり変わらないように一見思われますが、実際には疼痛もほとんどなく私自身の経験でも5日で自宅退院されました。アメリカではday surgeryとなっており、今後の可能性を期待できる手術法です。欠点は手技が難しく、多くの経験を執刀医に必要とします。あまり、執刀例のない施設での手術はお勧めできません。